菅田代表提言 第32回
役割分担
令和7年6月10日
「百姓」と書けば、大概の人は「ひゃくしょう」と読み、農業従事者を指すと思っていると思います。しかし古代では、姓(せい)は職業によって別々に付けられたので、「百姓」とは様々な職業の人々、則ち一般の人達を指す言葉でした。
天皇陛下は国民のことを「百姓」と書いて「おおみたから」と呼び、最も大事にされてきました。有名な逸話に、仁徳天皇の民の竈(たみのかまど)があります、これは仁徳天皇が注1国見(くにみ)をした時、民の家から煙が出ていない事に気付き、民は料理をしていない、民は貧しくなっている事を知ります。
そこで仁徳天皇は3年間、税を免除します。すると徐々に民家から煙が上がるようになります。しかし天皇は、更に3年間免税を継続させたのです。
民は豊かさを取り戻しましたが、天皇陛下の宮殿は雨漏りするほどボロボロになってしまいました。お妃が愚痴をこぼすのも当然でした。天皇は「民が豊かなら朕も豊かで、民が貧しければ注2朕(ちん)も貧しいのだ」と言ってお妃を宥めました。
仁徳天皇の「民のかまど」の伝承を描いた絵画(国立国会図書館デジタルコレクションより)
この天皇の大御心に感激した民は、命令されたわけでも無いのに、宮殿を修理したのです。この逸話で仁徳天皇が作られた御製が
「高き屋に 登りてみれば煙たつ 民の竈は にぎわいにけり」です。
歴代天皇が、初代神武天皇と仁徳天皇を模範としていたと言うのは紛れも無い事実です。
百姓は職業により身分の差は有りません。それぞれが自分の仕事に専念し、世の中の役に立てば良いのです。[勝ち組]とか[負け組]は私の最も忌み嫌う言葉です。
最後に日露戦争について書きます。日露戦争の勝利を決定付けた日本海海戦で、東郷平八郎大将率いる連合艦隊は、ロシアのバルチック艦隊をほぼ撃滅しております。
戦後、砲兵の人達は
「みんな東郷さんは偉い偉いと言うけれど、敵艦に大砲の弾を命中させたのは俺達だぞ」と言っていたそうです。
確かにそうです。秋山真之参謀が必勝の作戦を考え、東郷平八郎司令官が敵前8000mで大胆不敵な大回頭を決断しても、砲兵の人達が放つ大砲の弾が敵艦に命中しなければ勝てなかったのですから。日本海海戦の古今未曾有の大勝利は、司令官、作戦参謀、砲兵がそれぞれに役割を完璧に遂行した結果なのです。
翻って現在の我が国の政治を見るとどうでしょうか?国民(百姓)は毎日真面目に働いているのに、一向に景気は良くなりません。財務省が財政法4条を盾に緊縮財政をやり続けているからです。長期間不景気が続く時には積極的な財政出動をすれば景気はよくなります。
故安倍晋三総理は、「財務省をぶっ潰す、財政法も改正する」と言っていたそうです。政治家も官僚も、国民の為しっかりと役割を果たて貰いたいものです。
財務省解体デモは、故安倍晋三総理の霊魂が導いているのかな?とふと思ってしまいました。菅田拝
補足説明
注1 国見(くにみ)・・・ 国見とは、天皇が高いところから百姓の生活の様子をご覧になる事です。
注2 朕(ちん)・・・ 朕は私の意です、始皇帝が一人称の朕を、皇帝のみに使用するようにしてから、シナの皇帝や日本の天皇も朕と言うようになりました。