2024/01/06

令和6年 新年の提言

 

菅田彰人代表提言 第15

令和616

 

令和6年を迎え新年の御挨拶を述べるべき所ですが、元日に石川県で大地震が発生しましたので、まずは震災で亡くなられた方々に哀悼の意を表しますと共に、被災者の皆様にお見舞いを申し上げたいと存じます。

さて元日の早朝に、天皇陛下が「四方拝」と言う儀式を催行されている事を皆様ご存知でしょうか。私がこの儀式の事を知ったのは25年位前に加瀬英明先生の講演を拝聴した時でした。

 四方拝とはどのような儀式なのでしょうか。天皇陛下は早朝に起床されて、斎戒沐浴して身体を清められ、5時半から宮中三殿の一つである神嘉殿の南庭で催行されます。まず北の北極星を拝み、次に東、南、西、北の方角にある重要な神宮や神社、山陵等を拝み、最後に伊勢の神宮を拝みます。

(図:四方拝 宮内庁書陵部蔵)

 儀式が催行されている時、皇族の方々は自宅の部屋にいらっしゃいますが、窓を開けて寒風を部屋に入れるそうです。天皇陛下が寒い外で大切な儀式をされている時、暖かい部屋に居るのは申し訳ないとの思いからこのような事をされているようです。

ところで天皇陛下は何を神々に祈願しているのでしょうか。それは「この世で起こる様々な困難は我が身を通して下さい。全て私が引き受けますので、国民をお守り下さい。」と神々にお願いし、また五穀豊穰と国民の安寧を祈願して下さっているのです。

このような国家元首が日本以外の国に存在するでしょうか。日本人はこのような天皇を仰ぎ、有難い存在として大切にお守りして来たのです。ですから[四海波(しかいなみ)]という謡曲の最後に「君の恵ぞありがたき」と謡(うた)って天皇に感謝してきたのです。この日本に革命が起きないのは、当然の帰結なのです。

また平安時代の清和天皇の御代(みよ)に東北地方で、貞観(じょうがん)の大地震が発生しました。東日本大震災同様に大津波が人々を襲いました。清和天皇は役人を派遣しますが、その時役人に、「朝廷に従っていない人達も、差別せず助けなさい。そして私(天皇)ならどういう行動を取るだろうかと考えて行動しなさい」と命令しているのです。かつて東北地方は朝廷に逆らっていた人達が沢山おりましたが、現在東北地方で独立運動があるでしょうか、ありません。しかしイギリスやスペインでは、今でも独立運動が有ります。それは戦いの後遺症が完全に精算されていないからです。サッカーやラグビーのワールドカップで、イギリスはイングランドとスコットランドから別々の代表チームが出場します。一緒のチームでプレイしたくないからです。それと比較して日本は本当に幸せな国だと思います。まさに「君の恵ぞありがたき」です。菅田拝

 

補足説明

 斎戒沐浴・・・神仏に祈ったり神聖な仕事に従事したりする前に、飲食や行動を慎み、水を浴びて心身を清めること

 山陵・・・天皇・皇后・皇太后・太皇太后の墓地。御陵、みささぎ

 貞観・・・西暦859年から877年まで。清和天皇、陽成天皇の代の元号。

 四海波(しかいなみ)・・・謡曲「高砂 (たかさご」の一節。「四海波静かにて」から「君の恵みぞ有り難き」までの部分の通称。四方の海は波風がおさまって治まって、天下国家が平和な事を祝う内容。天皇のめぐみは本当に尊いものだと感謝する謡曲。YouTubeで聞いてみて下さい。