2015/10/15

TPP交渉、大筋合意で決着の意義について



 さて、参加十二ヶ国の国益を賭けたTPP交渉は大筋合意で決着しました。
 
 わが国は当初から米などの農産品五品目を聖域として妥協を許されない交渉を進めてきましたが、結果的には譲歩せざるを得ない品目もあり政府は早くも来年の参議院選挙を見据えた対応が迫られています。

 しかし、そのときに政府が説明すべきことは、安全保障関連法案の時と同じく、目の前にある「中国の脅威」です。産経の湯浅博特派員は「各国の利害が対立したまま暗礁に乗り上げれば、貿易ルールは『現状変更勢力』である中国の主導によって、恣意的で腕力がすべての過酷な世界に陥る可能性があった。」とその危険性を指摘しています。

 日本がインドネシア新幹線の発注で何故中国に負けたのか。中国側が数千億円の事業費を丸抱えで受注したからです。常識ではあり得ないことです。湯浅記者はそれを中国の「腕力経済」と称しています。

 南シナ海で行われている強引な人工島の埋立と同じく、国際法や制度、ルールを全く無視した手法と言うことです。軍事はもちろん経済においても法やルールを全く無視する「現状変更勢力」中国に対して、例え各国が満額回答の結論に達しなくても、大筋合意できたことは実に大きな成果であったと言えるのです。

 TPPは経済の安全保障である。その点も忘れずに説明してもらいたいと念願する次第です。

宮城ビジョンの会 代表世話人
菅田彰人




参考:産経新聞 湯浅博の世界読解「南シナ海に『天使はいない』TPPで中国の『豪腕経済』を抑制できる