菅田彰人代表提言 第15回
令和6年1月6日
令和6年を迎え新年の御挨拶を述べるべき所ですが、元日に石川県で大地震が発生しましたので、まずは震災で亡くなられた方々に哀悼の意を表しますと共に、被災者の皆様にお見舞いを申し上げたいと存じます。
さて元日の早朝に、天皇陛下が「四方拝」と言う儀式を催行されている事を皆様ご存知でしょうか。私がこの儀式の事を知ったのは25年位前に加瀬英明先生の講演を拝聴した時でした。
ところで天皇陛下は何を神々に祈願しているのでしょうか。それは「この世で起こる様々な困難は我が身を通して下さい。全て私が引き受けますので、国民をお守り下さい。」と神々にお願いし、また五穀豊穰と国民の安寧を祈願して下さっているのです。
このような国家元首が日本以外の国に存在するでしょうか。日本人はこのような天皇を仰ぎ、有難い存在として大切にお守りして来たのです。ですから[四海波(しかいなみ)]という謡曲の最後に「君の恵ぞありがたき」と謡(うた)って天皇に感謝してきたのです。この日本に革命が起きないのは、当然の帰結なのです。
また平安時代の清和天皇の御代(みよ)に東北地方で、貞観(じょうがん)の大地震が発生しました。東日本大震災同様に大津波が人々を襲いました。清和天皇は役人を派遣しますが、その時役人に、「朝廷に従っていない人達も、差別せず助けなさい。そして私(天皇)ならどういう行動を取るだろうかと考えて行動しなさい」と命令しているのです。かつて東北地方は朝廷に逆らっていた人達が沢山おりましたが、現在東北地方で独立運動があるでしょうか、ありません。しかしイギリスやスペインでは、今でも独立運動が有ります。それは戦いの後遺症が完全に精算されていないからです。サッカーやラグビーのワールドカップで、イギリスはイングランドとスコットランドから別々の代表チームが出場します。一緒のチームでプレイしたくないからです。それと比較して日本は本当に幸せな国だと思います。まさに「君の恵ぞありがたき」です。菅田拝
補足説明
斎戒沐浴・・・神仏に祈ったり神聖な仕事に従事したりする前に、飲食や行動を慎み、水を浴びて心身を清めること。
山陵・・・天皇・皇后・皇太后・太皇太后の墓地。御陵、みささぎ
貞観・・・西暦859年から877年まで。清和天皇、陽成天皇の代の元号。
四海波(しかいなみ)・・・謡曲「高砂 (たかさご) 」の一節。「四海波静かにて」から「君の恵みぞ有り難き」までの部分の通称。四方の海は波風がおさまって治まって、天下国家が平和な事を祝う内容。天皇のめぐみは本当に尊いものだと感謝する謡曲。YouTubeで聞いてみて下さい。