2021/05/14

反対する人は人を不幸にしている……「選択的夫婦別姓」推進派に奢りはないか

 宮城ビジョンの会は、 選択的夫婦別姓に反対の立場を明確にしています。時代の流れと言わんばかりに賛成意見ばかりが目立って報道される中、次の記事を見つけましたのでご紹介致します。


5月7日配信のデイリー新潮ウエブ版

反対する人は人を不幸にしている……「選択的夫婦別姓」推進派に奢りはないか

椎谷哲夫(しいたに・てつお) ジャーナリスト(日本記者クラブ会員)、皇學館大学特別招聘教授。宮崎県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学院社会科学研究科修士課程修了。元中日新聞東京本社(東京新聞)編集局編集委員。警視庁、宮内庁、警察庁などを担当。著書に『皇室入門』(幻冬舎新書)など。


 今年3月3日、参議院予算委員会で夫婦別姓問題をめぐって議論が行われた。夫婦別姓派の草分け的存在とも言える社民党の福島瑞穂氏が、大臣として東京五輪担当と男女共同参画担当を兼ねる丸川珠代氏に対し、就任前に別姓に慎重な立場を示していたことを取り上げて追及した。丸川氏は「私には私の考えがあるのは確かでございますが、それはそれとして、今、大臣の任にございますので、私は大臣としてしっかり務めを果たしたいと思っております」などと答弁した。しかし、福島氏は納得せず「なぜ選択的夫婦別姓に反対なんですか」などと同じ趣旨の質問を5回も6回も繰り返した。



元衆院議長が丸川珠代大臣への“追求”を「支離滅裂だ」と言った理由


 妻が職場などで使っている通称名(姓)は、夫の姓と違うから「通称名」なのだ。福島氏はなぜ「家族で姓が違うじゃないですか」などと的外れなことを言ったのか。「夫婦別姓に反対なのであれば、旧姓を通称名として使うのではなく、戸籍の姓を使うべきだ」と言いたかったのだろうか。  これには、さっそく元衆院議長の伊吹文明氏が反応した。伊吹氏は翌3月4日の二階派の会合で「支離滅裂な批判だ。通称の『丸川』を使ってうまくいってるなら別姓にする必要がない」と述べた。そして、「自分と異なる意見の人をあれだけ面罵したら民主主義は成り立たない」とも批判した。  実は、福島氏と同じような発言は他にもあった。立憲民主党の参院議員である蓮舫氏の2月25日付けのツイッターである。「ご本人も旧姓を名乗り、夫婦別姓を貫いておられるのに」とつぶやいたのである。結婚後に旧姓を通称名として使うことが、なぜ「夫婦別姓を貫くこと」なのか。蓮舫氏の勘違いだろうか。いや、そうではあるまい。  選択的夫婦別姓に慎重な国会議員らによって、旧姓の通称使用を拡大して法的根拠を持たせようという動きが出ているが、これを阻止しようと意識した発言であろうことは想像がつく。

「選択的夫婦別姓に賛成7割」という調査はどこまで公正だったのか


 調査は令和2(2020)年10月中旬、民間調査会社に依頼して20~59歳の男女7000人から回答を得た。陳情アクションのホームページ(HP)には「全国では70.6%が選択的夫婦別姓に賛成、一方で反対は14.4%という圧倒的な結果になりました」と勝ち誇るように書かれている。具体的にはどういう調査なのか。  質問は四択で、その結果は以下のとおりである。

菅首相「聞き方とかそういうことで(結果が)変っていることも事実」


 しかし、法務大臣の上川陽子氏の答弁はそうではなかった。同じ真山氏の質問に対し「それがどんな形で行われていたのかということについては定かではございませんけれども、一つの調査として大変貴重な調査というふうに思います」と答弁した。「どんな形で行われたのか定かでない」のに「大変貴重な調査」と言うのだ。国の法務行政を担う閣僚の答弁としては、いささか危うくはないか。

朝日新聞デジタルの意識調査は「選択的夫婦別姓に反対」が過半数の55%

夫婦の意見が対立したら「子どもの姓」を家庭裁判所に決めてもらう!?

「反対する人は、人を不幸にする」と威圧する選択的夫婦別姓論の不気味さ


 夫婦別姓には誰にも反対する理由がなく、異を唱えることは「人を不幸にする」ことだと言うのである。  心理学者の小倉千加子氏は、社会学者の上野千鶴子氏と対談した『ザ・フェミニズム』(2002年、筑摩書房)の中で、「夫婦別姓」に対して次のように語っている。「私はないほうがましと思っているんです。夫婦別姓になったらとんでもないと思っています」「夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない。 そこでまた一つの差別化が行われるわけじゃないですか。今はまだ一つで、いっしょだからいいですけれど」。前川氏の辛辣な言葉を聞くと、既にこうした差別が始まっているような気がして不気味だ。  その小倉千加子氏はいわゆるフェミニストの中でも、事実婚を含む「結婚制度」そのものに否定的で、既成のいわゆるリベラルフェミニズムを批判する立場から夫婦別姓に言及しているのだが、次のようにも語っている。

「若い子はこのごろ、同姓になりたがっています。私はそっちを応援しますね。『好きやったら、苗字も捨てる!』 そこまで行けよ! と」「彼の苗字になりたいというナイーブさを、あえてここで支持するのであって、別姓にしてまで、なんで婚姻届を出すんでしょうか」。 デイリー新潮取材班編集 2021年5月7日 掲載