令和5年3月6日 産経新聞 櫻井よしこ氏コラム 「美しき勁き国へ」の後半部分を書き起こしました。
読者の皆様には、是非この様な現状を御自身のSNSなどで広めて頂きます様お願い致します。
結婚観が大きく変化するいま、厚生労働省、文部科学省、法務省などには、日本人の生き方を一定方向に誘引する制度を定める委員会や有識者会議が設置されている。各種委員会の決定は往々、リベラルな方向に傾いてきた。それらが日本国政府の基本方針となり、法制化され、予算が投入され、確実にわが国社会の形を創っていく。
特定の民間団体と密接に関係する人物が専門委員などに就き、自身の所属する団体の利益になるよう政策を誘導することが、至る所で頻繁かつ公然と行われてきた。
本当に大事にすべきなのは特定の人々だけではなく、全員なのだ。シングルマザーもLGBT(性的少数者)もきちんと受けとめたうえで、多数を占める典型的な家族を大事にしなければならない。その多数派 を置き去りにするかのような政策を決めてきた委員会や専門家会議の在り方を、今こそ見直すべきだろう。これでよいのかと検証すべき一例が「Colabo(コラボ)」であろう。
性暴力や虐待などの被害を受けた若い女性らへの支援事業を東京都から委託されている一般社団法人だ。Colaboに対しては会計報告に不正があったとして住民監査請求がなされたが、問題の根は深い。代表の仁藤夢乃氏は厚労省の「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」のメンバーで、政府の公職にある。
仁藤氏は厚労省の会議で「女性支援法」に基づく国の政策形成に関して「法律が実効性のあるものになるように、予算を付けて欲しい。(中略)強制力を持って実行できるようなものが要る。やらせる、そういう法律や計画にしてほしい。」と述べている。
離婚夫婦の片方による子供連れ去り事件や、その法的問題について詳しいジャーナリストの池田良子氏が語った。
「自治体から巨額の補助金を受けている団体の代表が、自治体に自分の事業に対する予算措置を強制的に行うよう法律で義務づけて欲しいという要望に聞こえます。公職にある立場の人には許されない発言です。」
仁藤氏を支える議員に社民党の福島瑞穂党首、立憲民主党の蓮舫、打越さく良両参議院議員がいる。Colaboは家出少女に食事や宿泊所を提供する活動を行ってきたが、そうした活動の一環として若い女性達の合宿を沖縄で行い、「辺野古基地反対座り込み」などの活動も行っている。その活動も支える「女性支援法」は、実は衆参両院での議論が全くなされない中で成立した。
Colaboの事例が示すのは、国民の監視の目が全く届かない中で、女性支援法など多くの人が疑問抱くことも反対することもない、美しい名前の法律に守られて多額の公金が特定の団体に支給されているケースがあるという事実だ。公金が本来の目的とは異なる目的、たとえば左翼的政治活動に使われリベラル勢力の活動資金となっている例は実は少なくない」
異次元の少子化対策は、家族のあり方の見直しを起点とし、政府内の種々の有識者会議の構成員の見直しも含め「異次元の体制」で取り組まなくてはならない課題である。シングルマザーをはじめ少数の人々の生き方をきちんと受け入れるという大前提を踏んだ上で、伝統的家族の長所に目を向け、若い人々が結婚できる社会の構築に最大限の支援が急がれる。 以上