2026/06/09

東郷平八郎提督

 

菅田代表提言 第44回

                   令和8年6月9日

東郷平八郎提督

 

 「古今東西で最高の海軍提督は誰か?」との問いに対して、20世紀迄はトラファルガー海戦でイギリス海軍に勝利をもたらしたネルソン提督と決まっていました。しかし20世紀に入ると日露戦争の日本海海戦でロシアのバルチック艦隊をほぼ撃滅した、東郷平八郎提督の名前も挙げなければならなくなります。

ネルソン提督


東郷平八郎提督


この二人が世界最高の海軍提督と言われておりますが、ここで「一人だけに絞れ」と言われたら東郷平八郎提督となります。これは現在の世界の海軍提督の共通認識です。

また世界中の知識人で東郷提督を知らなければ、その人は似非知識人です。それ程東郷平八郎提督の名前は世界史のビックネームなのです。

ネルソン提督はイギリス国内で歴史上最高の英雄と見なされていますが、悲しい哉日本人は東郷提督の事をあまり知りません。大東亜戦争に敗れ、アメリカ占領軍に歴史上の偉人を教える事を禁じられたからです。しかし独立を回復してもこの状態ですから情けない限りです。

少し前置きが長くなりました。この東郷提督は日本海海戦に完勝した後、ロシアのバルチック艦隊を率いたロジェストヴェンスキー司令官をわざわざ病院に出向き見舞っております。重傷を負い日本軍に救助されて捕虜となり佐世保の海軍病院に入院していました。色々と話しをしてロジェストヴェンスキー司令官は東郷提督にすっかり魅せられて、

「このような素晴らしい提督と戦えた事を誇りに思う。敗れた相手が閣下であったことが、私の最大の慰めです」と言って涙を流したとのことです。敵将にこのように言わせた東郷提督の人格は、推して知るべしです。

 古島松之助「東郷提督、佐世保病院にロジェストヴェンスキー提督を見舞う図」

 

また日露戦争後、提督は各地で記念碑に揮毫を頼まれました。例えば福岡県福津市の大峰山自然公園内にある記念碑は、当初記銘を「日露戦争戦勝記念」にする予定でしたが、提督が「戦勝という字句は、国の尊い犠牲となられた両国軍人のことを思うと忍びない」と反対したため「日本海海戦紀念碑」となりました。これは乃木大将と同じく、敗者に恥ずかしめを与えてはならないとの配慮からです。これらの行為は武士道の惻隠の情から来るものです。

 


 大峰山自然公園内の日本海海戦記念碑

台湾の故李登輝総統は、「武士道は世界の指導原理だ」と言っておられました。これは極端だと思われる人も多いと思いますが、それこそ間違いだと思います。何故ならアメリカで真田広之主演のテレビドラマ「将軍」が大ヒットした事実があるからです。まともな人間は「今だけ、金だけ、自分だけ」の人物よりも、自己犠牲を厭わず「世の為人の為」に働いている人を尊敬します。武士道は決して日本人だけのものでは無く、世界共通の普遍性を持っているという事に気付くべきだと思います。

現在学校では「自由、平等、人権」が金科玉条の思想として教えられておりますが、これらの思想は歴史や伝統を無視した西洋の小賢しい知識人が頭の中で考えたものです。例えば他人を著しく傷つける行為をしても、表現の自由だと言い訳し、男も女も平等だと言って小中学校で同じ部屋で着替えをさせたりした事もありました。これは男女の性別や感性の違いを無視した暴挙です。

また左翼の人達は子供の人権を大事にしなければならないと主張します。これに反論するつもりはありませんが、しかし子供は大人が持っていない特権を与えられているという事を教えなければならないと思っています。例えば未成年者は殺人を犯しても大人より刑が軽くなります。これは特権です。なぜ特権が与えられているのかというと、大人よりも人格が未熟な為、適切な教育や環境の調整によって立ち直る可能性が成人よりも高いとされており、刑を大人よりも軽くして社会の中で立ち直る機会を与えようという主旨です。しかしながらズル賢い子供は、殺人を犯しても18才未満だと死刑にならない事を知った上で殺人に及ぶケースもあります。人権とは歴史や伝統そして家族などの共同体から完全に切り離された個人の生きる権利ですから、自分が一番大事と思ってしまうのは当然の帰結です。行き過ぎた人権尊重により、社会秩序や他者への思いやりの欠如を招く可能性があります。

今こそ乃木希典大将や東郷平八郎提督の武士道精神を学び、西洋生まれの自由、平等、人権を少し疑う事が現在の閉塞感を払拭するのに役立つのではないかと思っております。

 

英国ネルソン提督の名言

当時の戦艦は帆船ですから風向きによって勝敗が決まる事がありました。ネルソン提督は「風は勇者の念ずる方向に吹く」と喝破しました。

 

東郷平八郎提督の名言

明治天皇から「ロシアのバルチック艦隊といかに戦うか」との御下問に対し、提督は「誓ってこれを撃滅し、もって宸襟(しんきん)を安んじ奉ります」と報答しました。東郷提督はこの言葉通りにバルチック艦隊を撃滅したのです。

 

※宸襟(しんきん)・・・天皇陛下のお気持ち、心中を敬っていう言葉

 

菅田拝